高等専門学校(高専)は、中学校を卒業した後に進学できる学校の一つです。
一般的な高校とは異なり、5年間を通して専門分野を学ぶ教育機関であり、就職に強い学校として知られています。
また、大学への編入学という進路を選ぶこともできます。
一方で、「5年間も通うことになるけど大丈夫?」「寮生活は不安ではない?」「大学へ進学できるの?」「専門学校とは何が違うの?」など、お父さんやお母さんが気になることが多くあるかもしれません。
この記事では、高等専門学校(高専)の特徴や学習内容、就職・進学、寮生活などを分かりやすく解説するとともに、専門学校との違いについても整理します。
子どもの進路として高等専門学校(高専)を検討している場合は、学校選びの参考にしてください。
高等専門学校(高専)の特徴を一覧で整理
高等専門学校(高専)は、中学校卒業後に進学できる学校の一つです。
一般的な高校とは異なり、5年間をかけて専門分野を学ぶことが大きな特徴です。
また、卒業後は就職だけでなく、大学への編入学や専攻科への進学など、さまざまな進路を選択できます。
ここでは、高等専門学校の主な特徴を一覧で整理します。
【高等専門学校(高専)の主な特徴】
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 学校数 | 全国に58校(国立51校、公立3校、私立4校) |
| 修業年数 | 中学校卒業後に入学し、5年間学ぶ。 |
| 将来性 | 専門の技術者やエンジニアとしての即戦力が有望視されている。 |
| 入学時期 | 中学校卒業後に入学する。高校1年生に相当する学年からスタートする。 |
| 卒業資格 | 高等専門学校卒業の資格が取得できる。卒業後は就職や大学編入学などの進路がある。 |
| 授業内容 | 一般科目に加え、専門科目を早い段階から学ぶ。高学年では大学と同じような専門教育を受ける。 |
| 学校の規律・雰囲気 | 私服の学校が多く、一般的な高校よりも緩やかな学校が多い。様々な学校行事が行われている。 |
| 就職 | 企業からの求人が多く、就職率は極めて高い。専門知識や技術を生かした就職を目指せる。 |
| 大学進学 | 大学3年次への編入学や、高専の専攻科へ進学することもできる。大学進学希望者は非常に多い。 |
| 学生寮 | 多くの高専では学生寮を設置しているが、入寮が必須かどうかは学校によって異なる。 |
| 向いている人 | 物づくりや理数系が好きな人、早い段階から専門分野を学び、将来に活かしたい人に向いている。 |
高等専門学校(高専)は「就職に強い学校」または「就職するための学校」というイメージがあるかもしれませんが、それだけではありません。
専門分野を深く学びながら大学へ編入学することもできるなど、将来の進路にはさまざまな選択肢があります。
次の項目からは、高等専門学校(高専)の仕組みや特徴について詳しく解説します。
高等専門学校(高専)とは?
高等専門学校(高専)は、中学校を卒業した生徒が入学し、5年間を通して専門分野を学ぶ学校です。
一般的な高校では普通教育を中心に学びますが、高等専門学校では高校の学習内容に加えて、工学や情報、電気、機械、建築などの専門教育を早い段階から受けることができます。
専門知識や技術を習得することで、卒業後は専門の技術者やエンジニアとして、一流企業から中小企業まで幅広い企業に就職しています。
また、高等専門学校は高校とは異なる独立した学校種であり、卒業後は就職だけでなく、大学への編入学や専攻科への進学など、さまざまな進路を選択できます。
高等専門学校は5年間かけて専門分野を学ぶ学校
高等専門学校の最大の特徴は、中学校卒業後から5年間、一貫して専門教育を受けられることです。
1~2年生では、国語や数学、英語などの一般科目を学びながら、専門分野の基礎も学習します。
そして学年が上がるにつれて専門科目の割合が増え、実験や実習、研究などを通して専門知識や技術を身に付けていきます。
このように、普通高校よりも早い段階から専門分野を学べることが、高専ならではの特徴です。
この5年間の専門的な教育によって、専門知識や専門技術だけでなく、現場で作業ができる即戦力が身に付きます。
受験・入学資格|他の地域からでも受験できる
高等専門学校の受験資格は、一般の高校受験とほぼ同じで、中学を卒業または卒業見込みの生徒は、誰でも受験することができます。
また、国公立の高等専門学校の場合は、地元などの地域に関係なく、日本中の国公立の高等専門学校へ受験することが可能です。
この受験資格に関しては、一般の公立高校とはまったく異なり、むしろ大学受験と同じと考えてよいと思います。
ただし、このことは国公立の場合であり、私立の高等専門学校の場合は、住んでいる地域が限られていることもあるので確認が必要です。
学校生活について|一般の高校との違いは?
高等専門学校に入学しても、最初の3年間は一般の高校と同じような生活スタイルになります。
各学科やコースにはクラス担任の先生がついて、生徒たちのサポートや指導をしてくれます。
しかし、4年生になると実習や技術演習などが増えるので、大学と同じような生活スタイルになります。
ここでは、一般の高校と生活スタイルにどのような違いがあるのかを整理します。
【高等専門学校の生活スタイル】
| 項目 | 解説 |
|---|---|
| 校則 | 一般の高校よりも比較的に緩い傾向がある |
| 制服 | 制服は必要なく、私服の学校が多い |
| クラス運営 | 担任の先生がついてサポートと指導をしてくれる |
| 学校行事 | 学園祭やスポーツ大会など、各学校それぞれの行事が行われている |
| 部活動 | 一般の高校と同じように部活動が行われている |
高等専門学校は校則が比較的緩く、のびのび過ごせる雰囲気になっている学校が多いです。
ただし、学校によって雰囲気や校則は異なるので、詳しくは学校説明会などで確認することが大切です。
また、一般の学校とは異なり、学校や教員主導でなんでも進めていくわけではないので、自主的な行動や自己管理が求められます。
部活動は一般の高校と違うのか?
高等専門学校にも、一般の高校と同じように部活動があります。
学校によって違いはありますが、多くの学校で一般の高校とほとんど同じように、運動部も文化部も選ぶことができます。
そして運動部の場合は、一般の高校と同じように大会に出場できます。
ただし、大会に出場できる学年は、1~3年生までと決められている場合はほとんどです。
4~5年生の場合は、一般の大学生と同じように、大学の大会に出場できます。
このような部活動の状態になっていることが、高等専門学校のおもしろい特徴でもあります。
また、高等専門学校の部活動といえば、ロボット研究会などが有名かもしれません。
ロボットコンテストなどが全国規模で開催されていて、非常に盛り上がっています。
高等専門学校と専門学校との違い
高等専門学校と専門学校は名前が似ているので、非常に間違えやすいです。
しかし両者は、入学時期や学ぶ内容、卒業後の進路などに大きな違いがあり、まったく異なる教育機関になります。
【高専と専門学校の違い】
| 比較項目 | 高等専門学校(高専) | 専門学校 |
|---|---|---|
| 入学時期 | 中学校卒業後 | 高校卒業後が一般的 |
| 修業年数 | 5年間(専攻科を含めると7年間) | 2~4年程度 |
| 学習内容 | 一般科目と専門科目を並行して学ぶ | 職業に必要な専門知識・技能を中心に学ぶ |
| 卒業後の進路 | 就職・大学編入学・専攻科進学など | 就職・大学編入学(学校による)など |
このように、高等専門学校と専門学校は「専門的なことを学ぶ学校」という共通点はありますが、入学する時期や教育制度、卒業後の進路は大きく異なります。
高等専門学校を検討する際は、一般の高校へ進学するのと同じであることを理解しておくことが大切です。
高等専門学校と職業訓練学校との違い
高等専門学校と間違いやすい教育機関に、「職業訓練学校」があります。
高等専門学校も職業訓練学校も、どちらも実践的なスキルを学ぶ場所ですが、対象者・修業年限・卒業後の学歴の扱いなどに大きな違いがあります。
高等専門学校と職業訓練学校の主な違いを整理すると、以下のようになります。
【高等専門学校と職業訓練学校の主な違い】
| 項目 | 高等専門学校 | 職業訓練学校 |
|---|---|---|
| 主な目的 | 高度な専門技術者(エンジニアなど)の育成 | 再就職・転職に必要な実践スキルの早期習得 |
| 主な対象者 | 中学校卒業者 | 主に求職者、離職者、転職希望者(学歴は不問) |
| 修業年限 | 5年(商船学科は5年半) | 数か月〜2年(コースにより異なる) |
| 管轄 | 文部科学省 | 厚生労働省 |
| 卒業後の扱い | 「学歴」となる(短期大学卒業と同等) | 「職歴」または「学習歴」となる(学歴にはならない) |
| 学費 | 有料(国公立・私立により異なる) | 基本無料(テキスト代などは自己負担) |
このように、どちらも「学校」という言い方になっていますが、まったく異なる性質になります。
高等専門学校の学費は高い?
高等専門学校は5年間通う学校なので、「普通高校より学費が高くなるのでは?」と心配するお父さんやお母さんも少なくありません。
しかし、国立・公立高専では、高校就学支援金制度の対象となる3年次までは、全日制高校と大きく変わらない負担で通える場合があります。
ここでは、高専の学費について知っておきたいポイントを整理します。
3年次までは高校とほぼ同じ
国立・公立高専では、1~3年生は高校就学支援金制度の対象となります。
所得に関係なくどの世帯でも、授業料の支援を受けることができるので、授業料は実質的に無償となります。
そのため、1~3年生の学費は、全日制の公立高校と大きく変わらないと考えてよいでしょう。
なお、教科書代や教材費、実習費、制服代などは別途必要になります。
4・5年次は大学との比較になる
国立・公立の高等専門学校の場合、4・5年生は高校課程を修了した後の教育課程の扱いになるので、高校就学支援金制度の対象外になります。
そのため、授業料などが必要になります。
具体的な授業料などの学費は、各学校によって異なりますが、各大学での1・2年次に支払う学費相当、と理解するのがよいかもしれません。
また、国立・公立の高等専門学校の授業料は、一般的な私立大学などと比べると抑えられていることが多いので、経済的な負担を比較する際は、今後の進路・進学も含めて考える必要があると思います。
高等専門学校ではどのような勉強をする?
高等専門学校では、一般的な高校とは異なるカリキュラムで学習を進めます。
国語や数学、英語などの一般科目だけでなく、1年生から専門分野の授業が始まり、学年が上がるにつれて専門科目の割合が増えていきます。
そのため、「高校」と「大学」の両方の特徴をあわせ持つ学校と考えるとイメージしやすいでしょう。
一般科目と専門科目を並行して学ぶ
高等専門学校では、1~2年生は数学や英語、国語、理科などの一般科目を学びながら、専門分野の基礎も学習します。
3年生以降は専門科目の割合が増え、実験や実習、研究などを通して専門知識や技術を身に付けていきます。
普通高校では卒業後に専門学校や大学で学ぶ内容を、高等専門学校では中学生卒業後から段階的に学んでいくことが特徴です。
授業は大学に近い90分授業が多い
高等専門学校では、多くの学校で90分授業が採用されています。
一般的な高校の50分程度の授業と比べると長いので、最初は戸惑う生徒もいます。
しかし、実験や実習、演習などをじっくり行えることが、高専教育の大きな特徴です。
授業の進め方も大学に近く、一般の高校よりも授業の進み具合が早いかもしれません。
この部分に関しては、高校よりも大学と同じように、自分で考えながら学ぶ姿勢が求められると思います。
一般の高校より進級は厳しい
高等専門学校は、一般的な高校と比べて進級の基準が厳しい、という現状があります。
1年生の授業では、数学や理科だけでなく、国語や社会なども含めた一般教養を全般的に学びます。
2年生の授業からは、専門分野の授業や実習なども加わります。
これら専門分野の授業単位を一つでも落としてしまうと進級できない、という基準を設けている学校も多くあります。
このような仕組みは大学の単位制に近いか、ほとんど同じなので、中学校と同じように取り組んでいると、大変な思いをするかもしれません。
実際に、高等専門学校では一般の高校よりも留年する学生が多い傾向があります。
ただし、進級や卒業がしにくいわけではなく、高等専門学校は、専門知識や技術を確実に身に付けることを重視しているからです。
子どもたちは5年間も通って大丈夫?
高等専門学校を検討するお父さんやお母さんの中には、「中学卒業後に5年間も同じ学校へ通うのは長すぎるのでは?」と不安に感じる人もいるかもしれません。
一般的な高校は3年間ですが、高専は5年間をかけて専門知識や技術を身に付ける教育課程になっています。
ここでは、5年間という期間について、お父さんやお母さんが気になりやすいポイントを整理します。
途中で進路変更することはできる?
高等専門学校へ入学した後でも、進路変更をすることは可能です。
例えば、途中で普通高校へ転校したり、別の学校へ進学したりするケースもあります。
ただし、転校先の受け入れ状況や取得済みの単位などによって条件が異なるので、希望どおりに進路変更できるとは限りません。
そのため、高等専門学校への進学を決める前に、子どもが本当に専門分野を学びたいと思っているかを親子で十分に話し合うことが大切です。
途中で退学する学生もいる
高等専門学校に入学したあとに、途中で退学する学生も一部います。
理由はさまざまで、「学びたい分野が変わった」「授業についていけなかった」「別の進路を選びたくなった」など、一人ひとり異なります。
また、高等専門学校は専門科目が多く、授業のスピードも速いので、学習面で苦労する学生も一部にいます。
しかし、多くの学生は授業や実験、実習を通して専門知識を身に付けながら卒業し、就職や大学編入学など、それぞれの進路へ進んでいます。
5年間学ぶことには大きなメリットがある
高等専門学校が5年制になっているのは、専門知識や技術を段階的に身に付けるためです。
一般的な高校では、専門分野を本格的に学ぶのは卒業後になりますが、高等専門学校では中学校卒業後から継続して学習できます。
そのため、卒業する頃には実践的な知識や技術を身に付けている学生が多く、企業から高く評価される理由の一つにもなっています。
また、大学への編入学を目指す場合も、高等専門学校で学んだ専門知識を生かしながら、より高度な研究へ進むことができます。
「5年間」という期間だけを見ると長く感じるかもしれませんが、その時間をかけて専門性を高められることが、高等専門学校ならではの大きな特徴といえると思います。
高等専門学校の寮生活は大丈夫?

高等専門学校には学生寮を設置している学校が多くありますが、その制度は一般的な高校や大学とは大きく異なります。
「全員が寮生活なの?」「5年間ずっと寮に住めるの?」「一人暮らしはできるの?」など、気になる点が色々とあるかもしれません。
これらのルールに関しては学校ごとに考え方が異なるので、対応も大きく異なります。
高等専門学校の寮制度の特徴を一覧で整理すると、以下のようになります。
【高等専門学校の寮制度の主な特徴】
| 項目 | 概要 |
|---|---|
| 入寮 | 希望制が多いが、一部の学校では全寮制や1年次全員入寮を採用している。 |
| 入寮期間 | 学校によって異なり、3年次までの学校もあれば5年間利用できる学校もある。 |
| 一人暮らし | 認められる学校もあるが、学校への届け出や許可が必要な場合もある。 |
| 費用 | 寮生活で必要な費用などは自己負担が一般的。 |
| 地域差 | 都市部では自宅通学、地方では寮生活の学生が多いなど、大きな違いがある。 |
ここでは、それぞれの寮制度について詳しく解説します。
学校によって寮制度は大きく異なる
高等専門学校の寮制度は全国で統一されているわけではなく、学校ごとに大きな違いがあります。
例えば、一部の学校では完全な全寮制を採用していたり、1年生全員が寮生活を送ることを原則としていたりする場合があります。
これは、集団生活を通して規則正しい生活や協調性、自立する力を身に付けることを目的としているためです。
ただし、多くの学校では希望制となっていて、一般的に自宅から通学する学生のほうが全体的に多いです。
5年間ずっと寮生活とは限らない
「高等専門学校へ進学すると5年間ずっと寮生活になる」と思われている場合もありますが、実際にはそうではありません。
学校によっては3年次までしか入寮できず、4年生以降はアパートなどで一人暮らしをする制度を採用している学校もあります。
また、5年間入寮できる学校でも、3年生以降になると自立を目的として一人暮らしを始める学生も多くいます。
このように、高等専門学校では学年が上がるにつれて生活スタイルが変わることも珍しくありません。
入寮や一人暮らしにはルールがある
寮に入ることが希望制の学校であっても、誰でも自由に入寮できるわけではありません。
寮には定員数があるので、自宅から通学が難しい遠方の学生が優先されることが一般的です(遠方優先)。
また、極めて少数ですが、1年生からアパートなどで一人暮らしをする学生もいます。
ただし、その場合は学校への届け出や保護者の同意、学校長の許可などが必要になることがあります。
詳しい条件は学校によって異なるので、募集要項や学生寮の案内で確認しておくことが大切です。
費用や生活環境も学校によって異なる
学生寮にかかる費用は授業料とは別で、国の就学支援制度の対象にはなりません。
寮費や食費などは全額自己負担となります。
寮生活にかかる費用は、学校によって差はありますが、1か月あたり4〜6万円程度が目安となることが多いようです。
また、部屋の設備や門限、外泊のルール、食事の提供方法なども学校によって大きく異なります。
高等専門学校を検討する際は、どのような寮生活になるのかまで確認しておくことが大切です。
寮生活のメリット・デメリット
寮生活には多くのメリットがありますが、一方で注意しておきたい点もあります。
寮生活におけるメリットとデメリットを整理すると以下のようになります。
【高等専門学校の寮生活のメリット・デメリット】
| メリット・デメリット | 解説 |
|---|---|
| メリット | ・通学時間を短縮できる ・規則正しい生活を送りやすい ・友人との交流が深まりやすい ・自立する力が身に付く ・自己管理能力が向上する |
| デメリット | ・親元を離れて生活することになる ・集団生活のルールを守る必要がある ・ホームシックになる場合がある ・学校によって設備や生活環境が異なる ・生活に必要な費用がかかる |
寮生活は、子どもが自立する良い機会になる一方で、生活環境が大きく変わることへの不安を感じる場合もあります。
実際の生活環境や寮の雰囲気は学校によって異なるので、オープンキャンパスや学校見学などを利用して、事前に確認しておくと安心です。
高等専門学校は就職に強いと言われる理由
高等専門学校は、とにかく「就職に強い学校」として知られています。
多くの卒業生が製造業や情報通信業、建設業などあらゆる分野の技術職や研究職、専門技術者やエンジニアとして就職しています。
「どうせ町の小さな工場にしか就職できないのでは?」と考えている人が非常に多いと思いますが、実際はまったく異なります。
誰でも知っているような、日本を代表する大企業に就職している学生が大勢います。
主な一流企業の就職先を挙げると以下のようになります。
【高等専門学校生の主な就職先(一流企業)】
| 分野 | 企業名 |
|---|---|
| 自動車・重工業 | トヨタ自動車、日産自動車、三菱重工業 川崎重工業、IHI など |
| 電機・電子・精密 | ソニー、パナソニック、日立製作所 三菱電機、キヤノン、キーエンス 村田製作所 など |
| インフラ・鉄道 | JR東日本、JR東海、JR西日本 東京電力、関西電力 東京ガス、大阪ガス など |
| IT・通信・化学 | NTTグループ、ソフトバンク、KDDI 富士通、楽天、旭化成、信越化学工業 など |
上記の就職先の企業はほんの一部になります。
ここでは、なぜ高等専門学校は就職に強いのか、その理由について整理します。
企業とのつながりが強い
高等専門学校は、企業との連携を重視した教育を行っていることが大きく関係しています。
企業による講義や工場見学、インターンシップなどを取り入れている学校も多く、在学中から実際の仕事や技術に触れる機会があります。
また、卒業生がさまざまな企業で活躍していることから、高等専門学校の学生の採用を積極的に行っている企業も沢山あります。
このような企業との長年の信頼関係が、高等専門学校生の就職につながる理由の一つとなっています。
企業からの評価が高く、求人が多い
高等専門学校では、1年生から専門分野の学習が始まり、実験や実習を重ねながら知識と技術を身に付けます。
そのため、卒業時には専門分野に関する実践的な能力を備えている学生が多く、企業から高く評価されています。
また、課題研究や卒業研究などを通して、自ら課題を見つけ、解決する力も養われます。
こうした理由から、高等専門学校には多くの求人が寄せられる学校として知られています。
企業からの推薦枠がある
高等専門学校には、一般の高校にはない特徴があり、そのひとつが一般企業からの受け入れ希望があることです。
別の言い方をすると、企業からの指定校推薦のような制度になります。
さらに分かりやすく言うと、「おたくの学校から2名欲しいから、2名を選んでください」という推薦が各企業から届きます。
学校や企業によって異なりますが、推薦の資格を得ることで、ほぼ間違いなく内定がもらえる場合もあります。
一般の大学生の場合は、例え一流大学の学生であっても、内定をもらうために何社にも履歴書を送る、ということになりますが、高等専門学校の場合は極めて優遇されていることが、非常に大きな特徴になっています。
高等専門学校から大学へ進学できる?
高等専門学校へ進学した後は、就職するしか道がないのか?と思っている人が非常に多いと思います。
それほど、「高等専門学校=就職」というイメージが強いからですが、高等専門学校を卒業後は、大学へ進学する学生が沢山います。
実際には、大学へ進学(編入学)する学生は全体の約4割にもなります。
また、高等専門学校の専攻科へ進学したりするなど、さまざまな進路を選ぶことができます。
ここでは、高等専門学校卒業後の主な進学先について整理します。
大学への編入学とは?
高等専門学校卒業後は、大学3年次へ編入学できる制度があります。
これは、高等専門学校で5年間学んだ内容が大学の教養課程に相当すると認められているためです。
国公立大学をはじめ、多くの大学で高等専門学校生を対象とした編入学制度が設けられています。
国公立大学への編入(主流)
高等専門学校を卒業した後の主な進学先は、圧倒的に国公立大学が多いことが特徴です。
高等専門学校そのものが、国立運営が多いことが関係しています。
したがって中学生の時に、国立大学へ進むことをすでに希望している子どもが沢山いる、と考えてよいでしょう。
主な進学先
国立大学への主な進学先を整理すると、以下のようになります。
【国立大学への主な進学先】
| 項目 | 進学先の国立大学 |
|---|---|
| 進学先の国立大学 | 新潟大学、信州大学、宇都宮大学 筑波大学、東北大学、大阪大学 東京工業大学(現在の東京科学大学)など |
地方国立大学や難関大学まで、非常に幅広い進学実績があります。
高等専門学校生特化の大学
国立大学の中には、高等専門学校卒業生の受け入れを主目的に設立されている大学もあります。
現在(2026年)では、以下の2つの大学が特化型として、高等専門学校生を受け入れています。
【高等専門学校生特化の大学】
| 項目 | 特化型の国立大学 |
|---|---|
| 進学先の国立大学 | 長岡技術科学大学(新潟) 豊橋技術科学大学(愛知) |
上記の2つの大学には、毎年多くの高等専門学校生が推薦や一般試験で編入しています。
編入試験には大きなメリットがある
高等専門学校の学生を対象とした国立大学の編入試験は、一般の入試と異なり特別な入試制度になっています。
その結果、高等専門学校の学生にとっては、メリットになる仕組みがいろいろとあります。
国立大学の編入試験について整理すると、以下のようになります。
【国立大学の編入試験】
| 項目 | 解説 |
|---|---|
| 試験科目など | 英語・数学・物理・専門科目・面接が中心 |
| 共通テスト(旧センター試験) | 必要なし |
| 併願 | 日程が重ならなければ何校でも併願が可能 |
このように、高等専門学校の学生にとってメリットになることが多いことも関係していて、国立大学へ進学する生徒が非常に増えています。
私立立大学への編入
国立大学への進学に比べると人数は少ないですが、私立大学へ進学(編入)する学生もいます。
ここでは、私立大学への編入について整理します。
主な進学先
私立大学への主な進学先を整理すると、以下のようになります。
【私立大学への主な進学先】
| 項目 | 進学先の国立大学 |
|---|---|
| 進学先の国立大学 | 早稲田大学、慶應義塾大学、 東京理科大学、明治大学 青山学院大学、立教大学 中央大学、法政大学 関西大学、関西学院大学 同志社大学、立命館大学など |
受験用語になりますが、関東ではMARCH、関西では関関同立などの名門私立大学にも編入枠があり、高等専門学校の学生を受け入れています。
推薦制度の活用
高等専門学校によっては、特定の私立大学への「指定校推薦枠」を持っている場合もあります。
この推薦枠を利用すると高い確率で合格(ほぼ合格)できる特徴があります。
どの私立大学から指定校推薦があるのかは、高等専門学校のオープンキャンパスや学校説明会などで説明があるかもしれません。
また、各自でそれぞれの学校の進路情報などを確認する必要があります。
私立大学進学での注意点
私立大学の編入は、国公立大学に比べて募集人数が「若干名」と非常に少ない学科が多いので注意が必要です。
私立大学の場合は、情報が手に入りにくいこともあるので、高等専門学校の進路担当の先生と相談することが大切です。
また、私立大学の場合は、学費が高くなる点も考慮が必要です。
専攻科へ進学するという選択肢もある
高等専門学校には、本科(5年間)を卒業した後に学ぶ「専攻科」が設置されている学校があります。
専攻科では、さらに2年間かけて専門分野を深く学び、研究活動にも取り組みます。
専攻科を修了し、一定の条件を満たすことで、大学卒業者と同じ「学士」の学位を取得できる制度もあります。
高等専門学校は女子が少ないけど大丈夫?
高等専門学校を検討しているお父さんやお母さんの中には、「女子が少ないと聞くけど、学校生活は大丈夫なの?」と不安に感じる人がいるのではないでしょうか。
高等専門学校の卒業後は、工学系や機械系などの分野に就職する学生が多いので、高等専門学校は男子が通う学校、というイメージが強いかもしれません。
ここでは、高等専門学校における女子生徒の割合や学校生活について解説します。
女子学生の割合は一般的な高校より少ない
高等専門学校の女子学生の割合は、学校や学科によって異なりますが、一般的な高校と比べると少ない傾向があります。
特に、機械系や電気・電子系の学科では女子の割合が低いです。
一方で、情報系や建築系、デザイン系などでは、比較的女子学生の割合が高い学校もあります。
男女の割合は、高等専門学校の違いと同時に、専攻する学科やコースの違いによっても異なるので、それぞれの高等専門学校で確認のがよいでしょう。
女子学生へのサポートも充実している
近年は女子学生の入学が増えていることもあり、多くの高等専門学校では女子学生が安心して学校生活を送れるような環境づくりが進められています。
例えば、女子寮の整備や女子学生専用の設備を充実させるほか、女子学生同士が交流できるイベントや相談体制を設けている学校もあります。
このような理由から、一般の共学学校と全く違いがない、と理解するのがよいと思います。
女子学生は年々増える傾向にある
近年は、パソコンやスマホの普及にともない、情報関係やIT系の分野に人気があります。
その結果、理工系分野で活躍する女性が増えていることもあり、高等専門学校を希望する女子生徒が少しずつ増えています。
学校や学科によって違いがありますが、女子のほうが倍率が高くて合格しにくい、という場合もあります。
進学を検討する際は、オープンキャンパスや学校説明会に参加し、女子学生の人数や学校の雰囲気などを実際に確認してみることをおすすめします。
高等専門学校はどのような子どもに向いている?
高等専門学校は、一般的な高校とは教育内容や学校生活が大きく異なります。
そのため、本人の性格や特技や趣向性だけでなく、将来の職業についてなど、ある程度考えておくことが大切です。
高等専門学校が向いている子どものおおまかな特徴を整理すると、以下のようになります。
【高等専門学校が向いている子どもの特徴】
| タイプ | 理由 |
|---|---|
| 物づくりに興味関心がある | 実験や実習、製作など、実際に手を動かしながら学ぶ機会が多くある。 |
| 数学・理科分野が好き | 工学や情報などの専門分野では、数学や理科の知識を生かす場面が多くある。 |
| 専門分野を学びたい | 高校卒業を待たず、中学校卒業後から専門教育を受けることができる。 |
| 卒業後はスムーズに就職したい | 専門知識や技術を身に付けた後は、企業への就職することができる。 |
| 大学進学(編入)も視野に入れている | 高等専門学校の卒業後は、大学3年次への編入学が可能。 |
| 親元を離れた生活でも大丈夫 | 学校数が限られているので遠方になりやすく、寮生活になる場合もある。 |
上記で整理した内容なあくまでも目安です。
高等専門学校は学校数が少ないので、通学(寮生活)などを考えると進路選択から外れやすいかもしれません。
進学を慎重に検討した方がよいケース
高等専門学校は魅力の多い学校ですが、すべての子どもに向いているとは限りません。
ここでは、注意ポイントなどを簡単に整理します。
- 高校卒業後まで進路を決めず、幅広い選択肢を残しておきたい
- 専門分野よりも普通科の学習を中心に進めたい
- 数学や理科がそれほど得意ではなく、専門科目の学習に不安がある
- 5年間も同じ学校に通う自信がない
- 親元を離れた生活や寮生活に不安がある
上記のポイントは一例です。これらに当てはまる場合でも高等専門学校へ進学できることもあります。
進学を検討する際は、学校説明会やオープンキャンパスへ参加し、授業の内容や学校の雰囲気、寮生活についてなどを実際に確認してから判断するのがよいと思います。
高等専門学校(高等専門学校)についてよくある質問
ここまで、高等専門学校の特徴や学習内容、就職・進学、寮生活、学費などについて解説しました。
しかし、高等専門学校への進学を検討する際には、「大学へ本当に学できるの?」「寮生活はするべきか?」「学費はどのくらいかかる?」など、具体的な疑問があるかもしれません。
ここでは、高等専門学校についてよく寄せられる質問とその回答を整理しました。
本文の補足として、進路を考える際の参考にしてください。
Q. 高等専門学校(高専)とはどのような学校ですか?
A.高等専門学校(高専)は、中学校卒業後に入学し、5年間をかけて専門分野を学ぶ学校です。
一般的な高校とは異なり、国語や数学、英語などの一般科目に加えて、工学や情報、電気、機械、建築などの専門科目を1年生から段階的に学びます。
卒業後は企業へ就職するだけでなく、大学への編入学や専攻科への進学など、さまざまな進路を選択できます。
Q. 高等専門学校と専門学校の違いは何ですか?
A.高等専門学校と専門学校の最も大きな違いは、入学する時期と教育制度です。
高等専門学校は、中学校卒業後に入学し、5年間をかけて一般科目と専門科目を学ぶ学校です。
一方、専門学校は高校卒業後に入学し、職業に必要な知識や技術を学ぶ教育機関です。
名前は似ていますが、入学するタイミングや学ぶ内容、卒業後の進路などが異なるため、別の学校種として考えると分かりやすいでしょう。
Q. 高等専門学校の学費は一般の高校より高いですか?
A.国立・公立高等専門学校の場合、1~3年生は高校就学支援金制度の対象となるため、授業料は実質的に無償となります。
そのため、この期間の学費は全日制の公立高校と大きく変わりません。
一方、4・5年生は高校就学支援金制度の対象外となるため、授業料などの費用が必要になります。
また、寮を利用する場合の寮費や食費などは別途必要になります。
高等専門学校への進学を検討する際は、授業料だけでなく、5年間を通した学費や生活費も含めて考えるのがよいでしょう。
Q. 高等専門学校は5年間も通う必要がありますか?
A.はい。高等専門学校は、専門知識や技術を身に付ける教育課程のため、5年間通います。
これは、一般的な高校で学ぶ一般教養と同時に、大学や専門学校で学ぶ専門教育も行われる教育制度になっているためです。
5年間という期間は長く感じるかもしれませんが、その分、実験や実習を含めた専門教育を段階的に受けられることが高等専門学校の大きな特徴です。
Q. 高等専門学校から大学へ進学できますか?
A.はい。高等専門学校から大学へ進学することは可能です。
高等専門学校卒業後は、大学3年次へ編入学できる制度があり、国公立大学をはじめ、多くの大学で高等専門学校生を対象とした編入学試験が実施されています。
また、高等専門学校卒業生の約4割は大学へ進学(編入)しています。
近年は、このように大学進学という選択肢が広く認識されるようになったこともあり、高等専門学校を進路の一つとして希望する生徒が増えています。
Q. 高等専門学校は就職に強いと言われるのは本当ですか?
A.はい。高等専門学校は就職に強い学校として広く知られています。
その理由は、5年間で専門分野をしっかりと学び、実験や実習を通して実践的な知識や技術を身に付けられることにあります。
すなわち、高等専門学校は就職に直結した学校、という位置づけになっているからです。
また、多くの高等専門学校では企業との連携やインターンシップを取り入れており、卒業生がさまざまな企業で活躍していることから、高等専門学校生を積極的に採用する企業が沢山あります。
Q. 高等専門学校の寮生活は厳しいですか?
A.高等専門学校の寮生活には一定のルールや規律がありますが、その内容は学校によって大きく異なります。
例えば、門限や点呼、外泊の手続き、共用スペースの利用方法などが定められている学校もあります。
また、部屋のタイプも学校によって異なり、一人部屋を採用している学校もあれば、複数人で生活する相部屋の学校もあります。
寮生活は、規則正しい生活や自立する力を身に付けやすいというメリットがある一方で、集団生活が苦手な学生や、自分の時間を大切にしたい学生にとっては、負担を感じることもあります。
そのため、寮生活がすべての学生に合うとは限りません。
進学を検討する際は、寮の設備や生活ルール、部屋のタイプなどを事前に確認し、子どもの性格や生活スタイルに合っているかを考えることが大切です。
Q. 高等専門学校はどのような子どもに向いていますか?
A.高等専門学校は、物づくりが好きな子どもや、数学・理科など理系分野に興味がある子ども、専門分野を学びたい子どもに向いています。
また、将来は就職だけでなく大学への編入学も視野に入れている子どもにも適した進路の一つです。
特に近年は、スマートフォンやAI(人工知能)の普及により、情報技術を活用できる人材の需要が高まっています。
そのため、プログラミングや情報処理、AI、ネットワークなどの情報系・IT系の分野に興味がある場合は、高等専門学校は魅力的な環境だと思います。
進学を検討する際は、オープンキャンパスや学校説明会へ参加し、学科の特色や学習内容が子どもの興味や将来の目標に合っているかを確認するとよいでしょう。
このFAQでは、高等専門学校について特によくある疑問を中心にまとめました。
ここですべての疑問を解決できるわけではありませんが、進学を検討する際は、このFAQを参考にしてください。
まとめ|高等専門学校は専門性を早く身に付けたい子どもに適した進路の一つ
高等専門学校(高専)は、中学校卒業後から5年間をかけて専門知識や技術を学ぶことができる学校です。
一般的な高校の場合は、偏りのない教育方針が重視されているので、無駄と感じる教科の勉強もしなければいけません。
それに対して高等専門学校は、早い段階から専門分野を学び、大学と同じような教育システムになっていることが大きな特徴です。
ただし、専門科目が多いことなどが関係して、進級基準が比較的厳しいことや、学校によっては寮生活が必要になることなど、進学前に知っておきたい点もあります。
学びたい分野が明確で、専門性を早く身に付けたいという気持ちを持つ子どもほど、高等専門学校の教育環境を生かしやすいと思います。
進学を検討する際は、パンフレットだけで判断するのではなく、学校説明会やオープンキャンパスへ参加し、学習内容や学校生活、寮の環境などを実際に確認しながら、本人と十分に話し合うことが大切です。
中学生の進路に関しては、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
- 中学生の進路について|高校の受験方法・選抜方法をわかりやすく解説
- 中学生の進路の選び方・高校受験について|進学先や受験方法をわかりやすく解説
- 中学生の進路はいつ決めるべき?後悔しない進路選択の流れを時期別に解説
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元高校教師(教員歴15年)。進路指導部や各学年の担任として多くの生徒や保護者の相談に関わってきました。子どもの頃は勉強が苦手で赤点ばかりの生徒でしたが、その経験から「勉強が苦手な子の気持ち」がよく分かります。現在は、勉強や学校生活に悩む子どもを持つ保護者の方へ向けて、教育情報を分かりやすく発信しています。また、発達特性(ADHD)や勉強が苦手な子の学習方法について、現場経験をもとに解説しています。私についてはプロフィールで簡単な生い立ちを書いています。
