ADHDなどの発達特性のある中学生と関わる中で、いろいろと大変だ、と感じているお父さんやお母さんが多いと思います。
勉強の話をするとケンカになったり、毎朝のように忘れ物がないかとイライラしたり、何度指示を出してもすぐに行動がとれないなど、なかなかスムーズに行かないことがあるのではないでしょうか。
小学生の頃は何とかフォローできていたことも、中学生になると学習内容や学校生活が複雑になり、本人もお父さんやお母さんも負担が大きくなりやすくなります。
場合によっては「もっと子どもに厳しくした方がいいのではないか」と悩んでしまうこともあるかもしれません。
しかし、発達特性のある子どもとの関わり方は、一般的な子育てや教育の考え方だけではうまくいかないことがあります。
大切なことは、できないことを責めることではなく、その子どもに合った環境や仕組みを整えることです。
この記事では、ADHDなどの発達特性のある中学生との関わり方について、お父さんやお母さんが知っておきたい5つのポイントを分かりやすく解説します。
ADHDなど発達特性のある中学生との関わりが難しくなる理由
ADHDなどの発達特性のある子どもとの関わりに、悩んでいるお父さんやお母さんは非常に多くいます。
特に中学生になると、小学生の頃には目立たなかった問題が表面化しやすくなる場合があります。
中学生という時期にどのような変化が起きるのかを理解することが大切です。
ここでは最初に、お父さんやお母さんとADHDなど発達特性のある中学生との関わりが、難しくなる理由について簡単に整理します。
自己管理が難しくなる
中学生になると、学校での過ごし方が大きく変化します。
授業の進度は速くなり、理解する内容も増えます。そして宿題や提出物が増えるなど、自己管理が必要になります。
小学生のときは、お父さんやお母さんのサポートでなんとかなっていた行動が、中学生になると自分の責任で行動とることが増えるようになります。
その結果、計画的にコツコツと進めることや、提出物の管理や、忘れ物が多いなどのADHDの特性が、より色濃く出やすくなります。
お父さんやお母さんからは「子どもが急にだらしなくなった」と見えるようになるのはこのためです。
友人などの人間関係が複雑化する
中学生になると、クラスや学級活動が大きく変わり、より組織的に行動とることを重視するようになります。
その時のメンバーの違いによって、対応の仕方を変えるなど、柔軟に対応することが必要になってきます。
また、学校によっては部活動がより活発になります。
運動部の場合は対外試合があったり、文化部でも他校との関わりがあるなど、人間関係が複雑になります。
その結果、特性などの理由で、なかなかスムーズな対人関係が作れない子どもの場合は、非常に大きなストレスとなることがあります。
このストレスを発散する場所が家庭になり、発散する相手がお父さんやお母さんになる、という状況になることが多くあります。
本人も「できない自分」に悩み始める
中学生になると、本人も周囲との違いを強く意識するようになる場合があります。
「どうして自分だけ忘れ物が多いのだろう」「みんなはできるのに、自分は続かない」と感じることもあります。
ただし、このような感じ方は個人差が非常に大きいです。
また、何度も注意され続けると「自分はダメな人間だ」と思い込んでしまう子どももいます。
ADHDなどの発達特性のある子どもは、失敗体験を繰り返すことで自信を失いやすい傾向があります。
そのため、人間関係とはまた違ったストレスがたまり、イライラする場面が増えるかもしれません。
そもそも思春期で難しい時期
中学生は思春期に入るので、発達特性の有無にかかわらず、親子の衝突が増えやすい時期でもあります。
思春期は、ホルモンのバランスが大きく変化し、非常に不安定な精神状態になりやすいです。
それと同時に、大人への成長も大きく進み、自立心の芽生えも出てきます。
その結果、感情のコントロールが難しくなり、暴言を吐いたり衝動的な行動が出るなど、トラブルになることもあります。
中学生との関わりが難しくなる理由を整理【一覧】
ここまで簡単に解説した、中学生の子どもとの関わりが難しくなる理由を、一覧で整理してみます。
【中学生との関わりが難しくなる理由を整理】
| 理由 | 解説 |
|---|---|
| 自己管理が難しくなる | 宿題や提出物の管理が自己責任となり、提出物の未提出や忘れ物が目立つようになる。 |
| 友人などの人間関係が複雑化する | 組織的な行動が重視され、部活動なども活発になり、人間関係が複雑になることでストレスになる。 |
| 本人も「できない自分」に悩み始める | 他人との違いに気づくこともあり、人間関係とは違ったストレスがたまる場合がある。 |
| そもそも思春期で難しい時期 | 思春期はホルモンバランスが変わるなど、感情のコントロールが難しくなり、衝突しやすくなる。 |
上記以外にも、子どもとの関わりが難しい、と感じることがあると思います。
次の項目では、関わり方についてポイントを詳しく整理します。
ADHDなど発達特性のある中学生との関わり方「5つ」のポイント

ADHDなど発達特性のある子どもへの関わり方において、絶対的にこれが正しい、という方法はありません。
ただし、多くのお父さんやお母さんが陥りやすい失敗や、意識すると関係が良くなりやすいポイントはあります。
特に中学生になると、お父さんやお母さんが管理するだけではうまくいかなくなる場面も増えてきます。
そのため、どうすれば本人が自分で動きやすくなるか、という視点を持つことが重要になります。
ここでは、お父さんやお母さんが意識したい5つのポイントを紹介します。
1・指導ではなく「相談(サポート)」のスタンスに変える
子どもが小学生の頃は、お父さんやお母さんが細かく指示を出して管理する場面も多く、子どもは親の指示通りに従うことが当たり前でした。
しかし、中学生になると自立心が強くなり、お父さんやお母さんの指示に対して、反発するようになります。
中には激しく抵抗する子どももいるので、非常に厄介だと感じる場合もあると思います。
特にADHDなどの発達特性のある子どもは、失敗や注意を受ける経験が多くなる傾向があるので、お父さんやお母さんから指導されることに、強いストレスを感じる場合があります。
そのため、お父さんやお母さんが子どもを管理することを少しずつ減らし、子どもをサポートする立場に変えていくことが大切です。
例えば、「早く宿題をしなさい」ではなく、「どうしたら取り組みやすくなりそう?」という形で、子どもの意見を聞いて、子どもの意思を尊重することが必要です。
そして、お父さんやお母さんが子どもの行動を決めるのではなく、本人に決めさせることも大切です。
ただし、子ども本人に決めさせたからといって、行動のすべてを子どもの責任にすることは良くありません。
社会経験のない、まだ子どもという立場なので、最終的にお父さんやお母さんがちゃんと責任をとる、という意識を持つことが非常に重要です。
また、中には本人に決めさせようとしても、自分で決められない、どうしてよいのか分からない、と悩んでしまう子どもも多くいます。
そのような場合は、お父さんやお母さんが幾つかの選択肢を用意して、子どもに選ばせる、という関わり方をするのがよいと思います。
2・親が何でもやるのではなく、子どもができるように「工夫する」
忘れ物や提出物の管理が苦手な子どもを見ていると、お父さんやお母さんが代わりに管理したくなることがあると思います。
だからといって、いつまでもお父さんやお母さんが子どもの代わりにやってしまうと、子どもは自分で考えて行動する機会を失ってしまいます。
今は非常に便利なツールがいろいろとあるので、本人が使いやすいツールを活用するのがよいでしょう。
たとえば、スマートフォンに標準で装備されている、タイマーなどのリマインダー機能を利用したり、カレンダーのアプリを利用する方法があります。
これらのツールを利用することで、ADHDなどの特性による、忘れやすさを補う助けになります。
また、テキストなどの紙の教材が苦手な場合は、タブレット学習と呼ばれるデジタル教材のほうが合う子どももいます。
デジタルだけの利用ではなく、メモ帳を用意して、宿題や提出物についてメモ書きをしたり、付箋を用意して活用するなど、アナログが向いている場合もあります。
お父さんやお母さんが、口で言うだけではなかなか伝わらない場合もあります。
この場合は、文字を読むという視覚効果を利用するほうが、スムーズな行動に移れる子どももいます。
いずれにしても、子どもに全てをやらせてしまうと、すぐに続かなくなるので、お父さんやお母さんが辛抱強く、一緒になって取り組むことが大切です。
3・「二次障害(不登校やうつ)」のサインを見逃さない
中学生になると、クラス活動などの学校行事や部活動などが活発になり、1年を通して非常に忙しい生活になります。
そして勉強面でも負担が大きくなり、高校進学についても考えるなど、小学生のときに比べると、精神的に辛くなることが圧倒的に増えます。
しかも、これらの大変なものごとを同時に対応する場面も出てきます。
ADHDなど発達特性のある子どもにとっては、対応するものごとが多過ぎて、オーバーワークになり、心の病気や不登校などの2次的な障害になることもあります。
ただし、これらの症状は突然表れるのではなく、異変などの前兆が必ずあります。
子どもを注意深く観察することで、普段と違う異変などのサインに気付き、2次的な障害を未然に防ぐことができます。
主なサインには次のようなものがあります。
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毎朝、スムーズに起きられなくなる
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毎朝、頭痛や腹痛を訴える
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短気になり、イライラが激しく攻撃的になる
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忘れ物や物忘れが増える
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部屋の片づけが停滞し、以前よりもひどく汚くなる
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歯磨きや入浴などが減る、やらなくなる
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学校の話をしなくなる、学校の話題を嫌う
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好きなことに興味関心がなくなり、ぼーっとしている
-
ゲームやスマホなどに没頭して、言うことを聞かない
上記のようなサインがあるからといって、すぐに不登校などになるわけではありません。
思春期の子どもには、よくある変化でもあるので、とにかく注意深く観察することが大切です。
そして、本人が「学校に行きたくない」という発言をしていなくても、家でのんびり過ごすことを優先してもよいと思います。
心の病気や不登校になる前に、未然に防ぐことはできるので、子どもの様子をしっかりと見て、普段との違いに気づくことが重要です。
4・勉強は「量」ではなく「環境とやり方」を整える
ADHDなどの発達特性のある子どもの場合、勉強をもっと頑張ればできるようになる、という考え方ではうまくいかないことがあります。
例えば、テスト前にテレビやゲームなどを禁止して、長時間机に向かわせることは、よくありません。
子どもによっては、まったく意味のない時間になることもあれば、余計にストレスが溜まって、親子関係が乱れる原因になる場合もあります。
子どもにとって、集中できるタイミングや時間がそれぞれ異なります。
最初は、食後に10分だけテキストを開く練習をするなど、ハードルをうんと下げて対応することも大切です。
食後に10分の勉強ができたら褒めてあげて、テレビやゲームを許可してもよいと思います。
また、子どもが集中できる環境がどのような状態なのかを、正しく知ることも重要です。
自分の部屋よりも、家族のいるリビングのほうが集中できる、という子どももたくさんいます。
これは、ADHDなどの特性を持つ子どもの特徴のひとつでもあります。
また、自宅以外に学校や塾の自習室や、地元の図書館に行くなど、勉強する場所をいろいろと変えて、試してみることも必要かもしれません。
5・自尊心を守るために「親以外」の相談先をつくる
中学生になると、お父さんやお母さんには話しにくい悩みなどが増えてきます。
また、お父さんやお母さんに知られたくない学校でのできごとなどもあるかもしれません。
お父さんやお母さんとしては、子どもの学校での生活も知っておきたいので、いろいろと話を聞き出したい、と思う時もあるでしょう。
しかし、スムーズに話ができなかったり、お父さんやお母さんの言うことを聞かない場合もあると思います。
このような場合は、子どもが相談できる、家庭以外の人を作っておくことが大切です。
もっとも身近な存在は、学校の先生やスクールカウンセラーです。また、塾の先生や家庭教師などが、その役割を担うことがあります。
中学生の時期は、自尊心が大きく揺らぎ、プライドが傷つきやすくなります。
子どもの自尊心を守るためには、お父さんやお母さんだけで何とかしようとするのではなく、子どもが信頼できる第三者の手助けも必要です。
子どもにとって、何かあった時の逃げ道にもなるので、状況によっては、放課後等デイサービスのスタッフなどを頼りにしてもよいと思います。
子どもが「この人なら話せる」と思える相手を見つけておくことは、自尊心を守るうえでも大きな意味があります。
ADHDや発達特性のある中学生との関わり方5つのポイント【一覧】
ここまで紹介した5つのポイントを一覧表にまとめると、以下のようになります。
【ADHDや発達特性のある中学生との関わり方5つのポイント】
| ポイント | 意識したいこと |
|---|---|
| 指導ではなく「相談(サポート)」のスタンスに変える | 一方的に指示するのではなく、本人と一緒に解決策を考える姿勢を持つ。 |
| 親が全部やるのではなく「できる仕組み」を作る | 親が管理するだけでなく、リマインダーやアプリなどを活用して自立を支援する。 |
| 「二次障害(不登校やうつ)」のサインを見逃さない | 学習面だけでなく、自己否定感や不安の強まりなど心の変化にも注意する。 |
| 勉強は「量」ではなく「環境とやり方」を整える | 長時間勉強させるよりも、集中しやすい環境や本人に合った学習方法を考える。 |
| 自尊心を守るために「親以外」の相談先をつくる | 学校や専門家など、安心して相談できる第三者とのつながりを持つ。 |
どのポイントにも共通しているのは、本人の努力不足と考えるのではなく、特性に合わせた支援や環境づくりを行うことです。
お父さんやお母さんだけで解決しようとせず、学校や専門機関とも連携しながらサポートしていければよいと思います。
ADHDの子どもが不登校になる前に知っておきたいこと

ADHDなどの発達特性があるからといって、不登校になるとは限りません。
しかし、学校生活の中で困りごとが積み重なることで、強いストレスを抱えてしまうこともあります。
そのため、お父さんやお母さんは、子どもの心の状態にも目を向けることが大切です。
ここでは、発達特性と不登校の関係について知っておきたいポイントを解説します。
発達特性と不登校は無関係ではない
ADHDなどの発達特性のある子どもは、学校生活の中でさまざまな困難を抱えることがあります。
たとえば、忘れ物が多い、授業に集中しにくい、友人関係で誤解されやすいなど、物事がスムースに進まない場合も出てきます。
また、中学生になると他人と自分を比較するようになり、友達ができるのに自分はできない場合は、強い劣等感を抱くこともあります。
子どもにとっては非常に大きなストレスになるので、こうした状態が続くと、「学校へ行くのがイヤだ」と感じるようになる場合があります。
しかし、子どもによっては、普段から精神の状態などを把握しておくことが難しい場合もあります。
普段から、できるだけ注意深く子どものことを観察し、僅かな変化にも気付けるようにしておくことが大切です。
早めの支援が重要
もし、子どもの僅かな変化に気付いた場合は、早めの行動が重要です。
たとえば、「学校の話をしたがらなくなる」「朝になると体調不良を訴える」「以前よりイライラが増える」といった変化が見られた場合です。
このような子供の行動は、子どもが発している「SOSのサイン」でもあるので、しっかりと受け止める必要があります。
できるだけ早い段階で学校やスクールカウンセラーへ相談できれば、状況の悪化を防げることもあります。
子どもが不登校になると、様子を見ているだけで簡単に1週間が過ぎていきます。そして気が付くと、2週間や3週間も学校を休んでいることになります。
すぐに相談などできなくても、その後の行動を早め早めにイメージして、整理しておくのがよいかもしれません。
学校以外の選択肢もある
もし、子どもが学校に行きたくないと言っている場合や、学校生活がどうしても合わない場合は、学校以外のサポートを検討するのもよいかもしれません。
現在は、フリースクールや教育支援センター(適応指導教室)など、不登校の子どもや発達特性のある子どもを支える仕組みが、いろいろとあります。
また、中学生の場合は、その後の進路として通信制高校を選ぶケースも非常に増えています。
大切なことは、子どもが安心して学び、自信を持って行動が取れる環境を探すことです。
詳しくは、以下の記事でも解説していますので、必要に応じて参考にしてみてください。
お父さんやお母さんが利用できる相談先
ADHDなどの発達特性のある子どもの対応について悩んている場合は、お父さんやお母さんだけで解決しようとする必要はありません。
実際には、学校や専門機関など、相談できる場所は数多くあります。
また、早い段階で専門家など第三者の意見を聞くことで、子どもだけでなくお父さんやお母さんも負担が軽くなる場合があります。
ここでは、中学生のお父さんやお母さんが利用しやすい主な相談先を整理します。
通っている学校
最も身近な相談先は、在籍している学校です。
クラス担任の先生だけでなく、学年主任や特別支援教育のコーディネーターなどが相談に応じてくれる場合もあります。
学校は、子どもの日頃の様子を把握しているので、授業中の困りごとや友人関係について、情報を共有しやすいというメリットがあります。
また、合理的配慮や学習面の支援について相談できることもあります。
子どものことで困っている場合は、一人で悩まず、学校へ現状を伝えてみることが大切です。
スクールカウンセラー
多くの中学校にはスクールカウンセラーが配置されています。
スクールカウンセラーは、子どもの悩みだけでなく、お父さんやお母さんからの相談にも対応しています。
「どう接すればよいか分からない」「親子関係が悪化している」などの相談も可能です。
また、学校の先生とは異なる立場からアドバイスを受けられる場合もあるので、お父さんやお母さんにとって心強い存在になることもあります。
まず学年主任や養護教諭と話をしてから、スクールカウンセラーと相談するなど、学校によって対応の仕方が異なる場合があるので、各学校で確認する必要があります。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達特性のある本人や家族を支援する公的な相談機関です。
診断の有無にかかわらず相談できる場合もあり、地域の支援制度や利用できるサービスについて情報を得ることができます。
また、学校や医療機関との連携方法について相談できる場合もあります。
地域によって支援内容は異なりますが、専門的な助言を受けられる貴重な相談先の一つです。
発達特性について継続的に相談したい場合は、一度問い合わせてみるとよいでしょう。
民間の学習支援
学習面の困りごとが大きい場合は、民間の学習支援を活用する方法もあります。
たとえば、発達特性に理解のある放課後等デイサービスの利用や、家庭教師やオンライン家庭教師、個別指導塾などです。
一般的な集団授業ではうまくいかなかった子どもでも、個別対応によって学習しやすくなることもあります。
また、勉強を教えるだけでなく、学習習慣づくりやモチベーション管理までサポートしてくれるサービスもあります。
子どもの特性や性格に合った支援を選ぶことで、良い結果につながる場合もあります。
詳しくは、以下の記事でも解説していますので、あわせてご覧ください。
私の中学生時代について少しだけ・・・
私は大人になってから、自分がADHDであることを自覚しました。
私が子どもの頃は、ADHDなどという言葉はありません。不登校になる友達もいません。
学校に行きたくない、などと親に言ったら最後、無理やり学校の正門に投げ捨てられる・・・そのような時代だったのです。
勉強がまったくできずに、自分に自信を失ったのが中学1年の時です。
小学生の時は勉強ができなくても、注意されたことは一度もありませんでした。
テストの点が悪くても、追試テストもなく、課題を提出すこともありません。
ところが中学生になると、追試テストや居残りの補習、課題の提出などで大忙しの状態に変わりました。
授業中に先生に当てられても、質問に答えることができません。
読めない漢字が多く、教科書をスムーズに読むことができません。英語も同じです。
授業中に恥をかいて、辛い思いをしたことを今でもよく覚えています。
仲の良い友達がいてくれたことで、何とか楽しく学校に通っていました。
林間学校では、友達と夜中までコソコソと話しをしたことなど、中学時代の楽しい思い出は山ほどあります。
しかし、あの時代に戻りたいかと聞かれたら、答えはNOです。
当時、勉強が苦手で辛い思いをしたことは、心の傷として今も残っています。おそらく、この傷が消えることは一生ないでしょう。
中学生の時は、相当なストレスを抱えていたと思うのですが、残念ながら当時の自分にはまったく自覚がありません。
そもそもストレスが何なのか、ということもよく分かっていません。
今の子どもも同じだと思うので、我々大人たちが、子どものストレスを察してあげることが大切だと思います。
ADHDなど発達特性のある中学生の保護者によくある質問(FAQ)
ADHDなどの発達特性のある子どもとの関わり方に、毎日のように悩んでいるお父さんやお母さんは非常に多くいます。
特に中学生になると、プライドも高くなり自立心も強くなるので、小さい時の接し方ではスムーズにいかない、と不安を感じることもあるでしょう。
ここでは、ADHDなどの発達特性のある中学生のお父さんやお母さんが、よく疑問に思うことについて、分かりやすく解説します。
Q. 子どもがADHDなのは、親の育て方が原因ですか?
A.いいえ。ADHDは親の育て方によって生じるものではありません。
ADHDは脳の発達の特性によるものであり、遺伝的な要因が関係しています。
そのため、「親の接し方が悪かったのではないか」と必要以上に自分を責める必要はありません。
ただし、家庭環境やお父さんやお母さんの関わり方が、子どもの自己肯定感やストレスの感じ方に影響を与えることはあります。
そのため、大切なのは原因を探すことではなく、子どもの特性を理解しながら、どのようなサポートができるかを考えることです。
また、ADHDの特性は一人ひとり異なるため、困りごとに合わせて学校や専門機関と連携しながら支援していくことが重要です。
Q. ADHDの子どもは勉強が苦手なのでしょうか?
A.必ずしもそうとは限りません。
ADHDの子どもが苦手なのは、「勉強そのもの」ではなく、「勉強を続けるための管理や集中」であることが多いからです。
たとえば、授業内容は理解できていても、宿題を忘れる、提出期限を守れない、机に向かい続けることが難しいといった困りごとが見られることがあります。
また、興味のある分野には高い集中力を発揮する一方で、興味を持てない学習には取り組みにくいという特徴が見られる場合もあります。
そのため、「勉強が苦手」と決めつけるのではなく、「どの部分でつまずいているのか」を考えることが大切です。
学習環境や勉強方法を工夫することで、本来の力を発揮できるようになる子どもも沢山います。
Q. ADHDの子どもに何度言っても伝わらないのはなぜですか?
A.ADHDという発達の特性そのものが原因なため、何度言っても伝わらないことがあります。
ADHDなどの発達特性は、耳で聞いた言葉を頭の中で理解し、記憶にとどめておく力(ワーキングメモリ)が弱い場合があります。
そのため、お父さんやお母さんから言われた内容をすぐに忘れてしまうので、すぐに行動に移れない状況になります。
また、ADHDなどの発達特性により、やらなければいけない物事や、目の前のことに注意を向け続けることが難しい場合もあります。
この場合も同様に、お父さんやお母さんから言われた指示に対してスムーズに行動が取れず、関係ない物事に気を取られてしまうことがあります。
いずれにしても、本人には悪意はなく、わざとお父さんやお母さんの言うことを聞かない、ということではありません。
ADHDという発達特性の特徴のひとつであることを理解し、根気よく、そして穏やかに子どもと関わることを意識することが大切です。
Q. ADHDの子どもは不登校になりやすいのでしょうか?
A.ADHDだから必ず不登校になるわけではありません。
しかし、ADHDなどの発達特性がある子どもの場合は、不登校につながりやすいことがあります。
たとえば、忘れ物や提出物の遅れを何度も注意されたり、友達の前で恥をかくことが続くことで、余計なストレスをためることになります。
また、人間関係をスムーズに維持できないこともあり、心のエネルギーが不足してしまう場合もあります。
こうした状態が長く続くと、学校へ行くこと自体が大きなストレスになり、不登校につながることもあります。
そのため、お父さんやお母さんは、家での子どもの様子をしっかりと観察して、十分なコミュニケーションを取ることが大切です。
Q. 中学生になってからでも支援は受けられますか?
A.もちろん受けられます。中学生から支援を始めるケースは決して珍しくありません。
中学生になって学習や部活動などの学校生活が忙しくなったことで、初めて発達特性による困りごとが目立つようになることもあります。
また、中学生は進路を考え始める時期でもあるため、適切な支援によって学習面や生活面の負担を軽減できる可能性があります。
相談先としては、学校の先生やスクールカウンセラー、発達障害者支援センター、医療機関などがあります。
さらに、学習面で困りごとがある場合は、フリースクールなどの民間の施設や、発達特性に理解のある家庭教師や個別指導塾を活用する方法もあります。
早めに相談や支援を受けることで、子どもにとっても、お父さんやお母さんにとっても最適な場合があるので、検討してみるとよいかもしれません。
Q. ADHDの子どもにスマホやタブレットを使わせても大丈夫ですか?
A.はい、スマホやタブレットを使わせても大丈夫です。
使い方に注意は必要ですが、スマホやタブレットが一概に「悪いもの」と考える必要はありません。
ADHDなどの発達特性のある子どもの中には、スマホやタブレットを上手に活用することで、生活や学習がしやすくなる場合もあります。
中には、テキストなどの紙の教材よりも、タブレットなどのデジタル教材の方が集中しやすい子どももいます。
一方で、動画やSNS、ゲームなどに時間を使いすぎてしまう場合もあるため、利用時間やルールを親子で話し合っておくことは大切です。
重要なのは、スマホやタブレットの活用方法です。
子どもの特性に合った使い方ができれば、苦手な部分を補う、非常に便利なツールになる可能性があります。
Q. 親だけで相談しても大丈夫ですか?
A.もちろん大丈夫です。
むしろ、子ども本人が相談を嫌がっている段階では、まずお父さんやお母さんだけで相談を始める場合も多くあります。
ADHDなどの発達特性に関する悩みは、子どもが言うことを聞かなかったり、家庭での子どもの態度についてや、子どもとの接し方やなど、お父さんやお母さんの困りごとから始まることも多いからです。
学校の先生やスクールカウンセラー、発達障害者支援センターなどでは、お父さんやお母さんのみの相談にも対応している場合があります。
子どもを支えるためには、お父さんやお母さんが孤立しないことも大切です。
「まだ本人を連れて行く段階ではない」と感じる場合でも、一人で抱え込まずに相談してみることをおすすめします。
相談を通じて対応のヒントが見つかり、その後の親子関係が改善するきっかけになることもあります。
ADHDなどの発達特性の現れ方は一人ひとり異なるので、このFAQだけですべての疑問や悩みを解決できるわけではありません。
また、困りごとや必要な支援は家庭によって大きく変わることもあります。
子どもとの関わり方に悩んだ時の参考としてお役立てください。
まとめ|中学生は「見守る」と「支える」のバランスが大切
ADHDなどの発達特性のある中学生との関わり方で大切なのは、子どもを変えようとすることではなく、特性を理解したうえで適切に支えることです。
中学生は少しずつ自立していく時期でもあります。
そのため、お父さんやお母さんがすべてを管理したり、先回りして問題を解決したりするのではなく、自分で考えたり行動したりする機会を増やしていくことも重要です。
一方で、「困った時はいつでも助けるよ」という安心感を与えることも忘れてはいけません。
普段は見守りながらも、子どもが助けを求めてきた時には全力で支える。そのバランスが大切です。
また、ADHDについて正しく理解することも欠かせません。
ADHDは本人の努力不足や親の育て方によるものではなく、生まれつきの脳の特性が大きく関係している場合がほとんどです。
そのため、子どもができないことを責めるのではなく、どうすればできるようになるか、対策を一緒に考える視点が重要になります。
もし対応に悩んでいる場合は、一人で抱え込まず、専門の医療機関などに相談してみましょう。
正しい知識を得ることで、子どもへの理解が深まり、親子ともに過ごしやすい環境づくりにつながります。
サイト運営者:元赤点教師
元高校教師(教員歴15年)。進路指導部や各学年の担任として多くの生徒や保護者の相談に関わってきました。子どもの頃は勉強が苦手で赤点ばかりの生徒でしたが、その経験から「勉強が苦手な子の気持ち」がよく分かります。現在は、勉強や学校生活に悩む子どもを持つ保護者の方へ向けて、教育情報を分かりやすく発信しています。また、発達特性(ADHD)や勉強が苦手な子の学習方法について、現場経験をもとに解説しています。私についてはプロフィールで簡単な生い立ちを書いています。
