「学校へ行きなさいと言うべきなのだろうか」「このまま休ませていて本当に大丈夫なのだろうか」
子どもが不登校になると、多くのお父さんやお母さんが子どもの対応に悩むと思います。
心配する気持ちが強くなると、学校へ行くように促したり、学校で何かあったのか、原因を聞くなど、いろいろと話しをしたくなるかもしれません。
しかし、良かれと思って取った行動が、結果的に子どもをさらに苦しめてしまう場合もあります。
不登校の原因や状況は、それぞれの家庭によって異なるので、絶対に正しい対応や、絶対に間違った対応などがあるわけではありません。
ただし、多くの不登校支援の現場で共通して言われている「避けた方がよい関わり方」というものがあります。
この記事では、不登校の子どもに対してやってはいけないNG行動を10個紹介するとともに、親としてどのように関わればよいのかを分かりやすく解説します。
なぜ親の対応が重要なのか
不登校になると、親として何をすればいいのだろうと悩むお父さんやお母さんが多くいます。
実際には、不登校の原因は一つではなく、学校生活や人間関係、学習面の悩み、本人の特性など、さまざまな要因が重なっていることがほとんどです。
そのため、親の対応が悪かったから不登校になった、と単純に考えることはできません。
しかし一方で、子どもが長い時間を過ごす家庭環境や親の関わり方が、その後の回復や改善に大きく影響することも事実です。
まずは、親だけが原因ではないということと、親の関わり方は大切である、という二つの視点を理解することが大切です。
親だけが原因とは限らない
子どもが不登校になると、「育て方が悪かったのではないか」と自分を責めてしまうお父さんやお母さんがいるかもしれません。
しかし、不登校の原因は非常に複雑であり、家庭だけが原因とは限りません。
学校での人間関係や学習面のプレッシャー、いじめ、環境の変化、発達特性など、さまざまな要因が関係していることがほとんどです。
また、本人も「なぜ学校へ行けないのか分からない」と感じている場合が多いです。
そのため、お父さんやお母さんがすべての責任を背負ったり、自分を責め続けたりする必要はありません。
大切なことは、不登校は誰の責任かを探すのではなく、これからどう支えていくかを考えて、子どもの将来を見つめることです。
それでも家庭の関わり方は大きな影響を与える
子どもが不登校になった場合、お父さんやお母さんの家庭での関わり方は、子どもの状態に大きな影響を与えます。
不登校の子どもは、強い不安感や自己否定感を抱えている場合もあります。そのため、家庭が安心できる場所になるかどうかは非常に重要です。
もちろん、お父さんやお母さんも不安や焦りを感じるのは自然なことです。
しかし、その不安が「学校へ行きなさい」「このままでは将来困る」といった言葉として繰り返し伝わると、子どもはさらに追い詰められてしまうことがあります。
逆に、家庭が安心して過ごせる場所になれば、少しずつエネルギーを取り戻し、次の一歩を踏み出せるようになります。
子どもの不登校の支援では「親が何をするか」だけでなく、「何をしないか」ということも同じくらい大切なのです。
不登校の子どもにやってはいけないNG行動10選
家庭の状況や子どもの状態は一人ひとり違うので、不登校の子どもに対して「絶対にやってはいけない」と言い切れるものはありません。
ただし、不登校を支援する多くの現場で共通して言われている「親として避けた方がよい対応」というものがあります。
ここでは、お父さんやお母さんがついやってしまいがちなNG行動を10個紹介します。
1・無理やり学校へ行かせようとする
不登校になると、多くのお父さんやお母さんが最初に考えることが「何とか学校へ行かせたい」ということです。
授業の遅れや内申点のこともあるので、親としてそう思うのは自然な気持ちです。
しかし、本人が強いストレスや不安を抱えている状態で無理に登校を促すと、さらに追い詰めてしまう場合があります。
特に、「甘えているだけ」「行けば何とかなる」と決めつけてしまうと、子どもは自分の苦しさを理解してもらえない、と感じてしまうこともあります。
学校へ行かせることだけを目標にするのではなく、なぜ登校することが難しいのか、を考えることが大切です。
2・なぜ休むのか、原因を執拗に問い詰める
お父さんやお母さんの中には、原因が分からなければ解決できないと、考えてしまう場合があるかもしれません。
しかし、不登校の子ども自身も、自分の気持ちをうまく言葉にできないことがあります。
また、話すことで嫌な思いや、苦しい気持ちを思い出したりする場合もあります。
そのような状態で何度も原因を聞かれると、子どもは答えられない自分が悪い、と感じてしまうことがあります。
話せるようになるまでじっくり待つことも、重要な支援の一つです。
3・他の兄弟や友人と比較する
「お兄ちゃんは普通に学校へ行っていたのに」「○○さんの子は頑張って登校しているよ」など、他の子どもと比較したくなることもあるかもしれません。
しかし、比較されることで子どもが前向きになることはまずありません。
むしろ、「自分はダメなんだ」「期待に応えられない」と感じてしまい、劣等感や自己否定感を強めることもあるので、気を付けなければいけません。
そして、他人と比較することで、子どもの自尊心を傷つけることにもなりかねません。
また、子どもを比較するつもりがなくても、何かを話ししなければ、という気持ちが強いと、ついつい余計なことを言ってしまうことがあると思います。
無理をして子どもと話をしようとする必要はなく、自然体で接するのが一番よい関わり方です。
4・学校を休んでいることに対して小言を言う
不登校が長引くと、「いつまで休むの?」「今日は何をしていたの?」など、つい小言を言いたくなることがあるかもしれません。
しかし、多くの不登校の子どもは、自分が学校へ行けていないことを十分に理解しています。
そのため、繰り返し指摘されることで、「説教されている」「理解してもらえない」と感じてしまうことがあります。
生活リズムや家庭内のルールについて話し合うことは必要ですが、学校へ行けていないことを口にすることは、改善の妨げになる場合があります。
5・将来を悲観する言葉をかける
お父さんやお母さんとしては、将来への不安から、高校へ行けなくなることなどを言いたくなる場合があるかもしれません。
しかし、不登校の子どもは、お父さんやお母さんが思っている以上に、将来への不安を抱えていることがあります。
そのような状態で悲観的な言葉を聞くと、子どもは恐怖心を抱く場合もあるので注意が必要です。
今後の進路について、親子で考えることは非常に大切ですが、お父さんやお母さんが自分の不安をぶつけるのではなく、子どもの考えを聞き出すことが大切です。
6・腫れ物に触るように扱いすぎる
子どもが不登校になると、「刺激しない方がいいのでは」と考えて、必要以上に気を遣ってしまうお父さんやお母さんもいると思います。
無理に将来の話をしたり、今後の話題を投げかけることはよくありません。
しかし、お父さんやお母さんが何も話しかけなかったり、子どもの顔色ばかりうかがう、などの関わり方が増えてしまうこともよくありません。
このような状態が続くと、子どもは自分のせいで家族が気を使っていて、家庭をダメにしている、と思い込んで自分を余計に責めてしまいます。
子どもが学校に行けていた時と同じように、自然体で接することが大切です。
7・外出や趣味をすべて禁止する
「学校へ行けないのに遊びには行くの?」と疑問に感じるお父さんやお母さんもいると思います。
パソコンやゲームやスマホ、友人との外出など、すべてを禁止にしたくなるお父さんやお母さんの気持ちはよく分かります。
しかし、不登校の子どもにとって、趣味や好きなことが数少ない心の支えになっている場合もあります。
学校へ行かないなら楽しみも禁止、という考え方は、子どもをさらに追い詰めてしまう可能性があるので注意が必要です。
子どもが遊びに出かけたり、ゲームに夢中になるのは、多くの場合はストレスが原因と考えられています。
子どものストレス発散手段を取り上げるのではなく、遊びやゲームについて、お父さんやお母さんも一緒に話をしていみるのもよいかもしれません。
8・学校からの連絡をそのまま子どもに伝える
学校からは、担任の先生や学年主任などを通して、さまざまな連絡が届きます。
「そろそろ登校できそうですか」「一度学校へ来られませんか」「提出物の期限が近づいています」など、内容はさまざまです。
お父さんやお母さんとしては、子どもに正確に伝えなければならないと思い、そのまま子どもへ話してしまうこともあるでしょう。
しかし、子どもの状態によっては、それらの連絡が大きなプレッシャーになる場合があります。
特に、不登校になったばかりの時期や、登校への不安が強い時期は、「学校」や「先生」という言葉を聞くだけで辛くなる子どももいます。
大切な連絡を隠す必要はありませんが、そのまま伝えるのではなく、「今は伝えるべき内容か」「どのような言い方なら負担が少ないか」などを考えることが大切です。
9・母親・父親のどちらか一人で抱え込む
子どもが不登校になると、子どもの対応や学校との連絡、将来への不安など、お父さんやお母さんには多くの負担が生じます。
その中で、お母さんまたはお父さんのどちらか一人が、すべてを抱え込んでしまう場合があります。
しかし、一人で対応を続けていると、精神的にも体力的にも大きな負担になります。
また、お父さんやお母さん自身が疲れ切ってしまうと、子どもを支える余裕も失われやすくなります。
不登校は短期間で解決するとは限りません。
お父さんとお母さんで情報を共有したり、祖父母や親族、学校、専門機関などに相談したりしながら、支援の輪を広げることが大切です。
自分だけで何とかしなければならない、と考えすぎないことが大切です。
10・親が不満や機嫌の悪い態度を見せる
不登校が続くと、お父さんやお母さん自身も強いストレスや不安を抱えることになります。
将来への心配や周囲の目、学校とのやり取りなどに疲れ、「どうしてうちの子だけ」と感じてしまうこともあるでしょう。
しかし、その不満やイライラが態度や表情に出ると、子どもは敏感に反応します。
そして、「自分のせいで親を困らせている」「自分のせいで家の雰囲気を悪くしている」と感じてしまうことがあります。
お父さんやお母さんの普段の仕事以外に、趣味や娯楽の時間をしっかりと作ることも非常に大切です。
お父さんやお母さんがストレスを発散して、リフレッシュした状態で家庭内にいることが、子どもにとって良いことです。
どんなに疲れていても、どんなにイヤなことがあっても、子どもの前では笑顔で対応することを心掛けるようにしましょう。
不登校の子どもにやってはいけないNG行動を一覧で整理
ここまで紹介した10個のNG行動を一覧表にまとめました。
もちろん、どの家庭でも完璧な対応ができるわけではありません。
大切なのは、「やってしまったこと」を後悔し続けることではなく、これからの関わり方を少しずつ見直していくことです。
【不登校の子どもにやってはいけないNG行動10選】
| NG行動 | 問題点・理由 |
|---|---|
| 無理やり学校へ行かせようとする | 本人の不安やストレスを強め、さらに追い詰めてしまう可能性がある。 |
| 原因を執拗に問い詰める | 本人も理由を整理できていない場合があり、大きな負担になることがある。 |
| 他の兄弟や友人と比較する | 自己否定感を強め、「自分はダメだ」と感じやすくなる。 |
| 学校を休んでいることに小言を言う | 責められていると感じ、家庭が安心できる場所でなくなる場合がある。 |
| 将来を悲観する言葉をかける | 本人が抱える不安をさらに大きくしてしまう可能性がある。 |
| 腫れ物に触るように扱いすぎる | 過度な特別扱いが、かえって本人を苦しくさせることがある。 |
| 外出や趣味をすべて禁止する | ストレス発散手段を取り上げると、余計に子どもを追い込むことになる。 |
| 学校からの連絡をそのまま伝える | 学校への不安やプレッシャーを強めてしまうことがある。 |
| 親が一人で抱え込む | お父さんやお母さん自身が疲れてしまい、長期的な支援が難しくなる。 |
| 不満や機嫌の悪さを見せる | 家庭内の雰囲気が乱れると、子どもは自分の責任と感じてしまう場合がある。 |
ここでは10個のNG行動を取り上げましたが、まだまだやってはいけないNG行動があるかもしれません。
無意識に子どもと関わることは良くありませんが、意識しすぎることもよくありません。
この辺りの関わり方が少し難しいと思いますが、10個のNG行動を今一度チェックしてみてください。
NG行動をしてしまった場合はどうすればいい?

ここまで10個のNG行動を紹介してきましたが、「すでにやってしまった・・・」と後悔しているお父さんやお母さんもいるかもしれません。
しかし、そのことで自分を責める必要はありません。不登校の子どもを前にして、不安や焦りを感じない親はいないからです。
大切なのは、過去に何をしたかではなく、これからどう関わるか、ということです。
まずは、お父さんやお母さん自身が少し肩の力を抜きながら考えてみてください。
完璧な対応ができる親はいない
不登校についてインターネットなどを調べると、「このように対応しましょう」「これは避けましょう」といった情報がたくさん見つかります。
しかし、実際の子育てでは、その通りにできないことの方が多いかもしれません。
お父さんやお母さんは、「一度も失敗しない親」を目指す必要はありません。
むしろ、失敗しながらでも、子どもと向き合おうとしていることが大切です。
気づいた時点から関わり方を変えればよい
もし、「学校へ行くよう強く言い過ぎた」「あの時に余計なことを言い過ぎた」と思い当たることがあっても、強く後悔する必要はありません。
時間が経ってから、「あの時は冷静ではなかった」「今は少し考え方が変わった」と気づけることに意味があると思います。
過去の対応を思い返すことと同時に、今後、何を変えられるかを前向きに考えることが重要です。
そのためには、まず第一に、子どものことを最優先して考えることが大切です。
不登校の子どもへの基本的な関わり方
ここまで、不登校の子どもに対して避けたいNG行動を紹介してきました。
では、実際にはどのように関わればよいのでしょうか。
ここでは、不登校の子どもと向き合ううえで意識したい基本的なポイントを整理します。
まずは安心できる家庭環境を整える
不登校の子どもにとって、家庭は最も長い時間を過ごす場所です。
そのため、家庭が安心できる環境になっているかどうかは非常に重要です。
特に、不登校になった最初の頃は、子どもが強い不安やストレスなどを抱えていることが多いので、学校へ行かせることよりも、安心して休めることを優先した方が良い場合もあります。
そのためには、子どもにとって自分の家がもっとも安心できる場所になっている必要があります。
子どもが家の中で安心して過ごせる環境に整えることが、お父さんやお母さんの大切な役目のひとつになります。
子どものペースを尊重して話を聞く
子どもが不登校になると、多くのお父さんやお母さんが、「早く元気に学校へ戻ってほしい」と思います。
しかし、不登校の改善には個人差があり、数週間で落ち着く子どももいれば、長い時間をかけて少しずつ前へ進む子どももいます。
また、良くなったと思ったら、再び不安定になることも珍しくありません。
そのため、改善を急ぎすぎると、子どもにプレッシャーを与えて、余計に心を痛めてしまうことがあるので注意が必要です。
大切なのは、周囲と比較したり合わせることではなく、子ども自身のペースを尊重することです。
子どもがどのようなペースで進んでいるのかを十分に観察して、できるだけ子どものペースに合わせて関わっていくことが大切です。
そして、お父さんやお母さんが一方的に話をするのではなく、子どもの話をしっかりと聞いてあげることも重要です。
子どもファーストで考えることを意識しましょう。
必要に応じて様々なサポートも考える
不登校の子どもが学校へすぐに戻ることだけが、改善ではありません。
また、お父さんやお母さんが望むような名門校へ進学することが、必ずしもベストな選択とは限らない場合もあります。
近年は、不登校の子どもを対象とした様々なサポート体制が整ってきているので、これらの支援を利用することも視野に入れてよいかもしれません。
たとえば、フリースクールや教育支援センター(適応指導教室)は、不登校の子どもの居場所や学習支援を行っています。
また、中学生であれば将来的な進路として、通信制高校を選択することも、決して珍しくありません。
いきなりこれらのテーマを話題にするのは無理があるので、子どもの様子を見ながら、少しずつ話を切り出してみてはいかがでしょうか。
詳しくは、以下の記事でも解説していますので、参考にしてみてください。
不登校の親が利用できる相談先
子どもの不登校の対応は、お父さんやお母さんだけで抱え込む必要はありません。
実際には、「何をすればよいか分からない」「誰に相談すればよいか分からない」という悩みを抱えているお父さんやお母さんが多くいます。
しかし、不登校に関する相談先は学校以外にも存在します。ここでは、お父さんやお母さんが利用しやすい主な相談先を整理します。
子どもが通っている学校
最も身近な相談先は、やはり在籍している学校です。
担任の先生だけでなく、学年主任、生活指導・生徒指導の担当や教育相談の担当などが応じてくれる場合があります。
学校によって、対応する担当や名称などが異なるので、まず担任の先生と話し合うことが大切です。
出席についてや、進路や学習面に関する情報のやり取りをおこなううえでも、学校との連携は重要です。
学校との関係がうまくいってなく、お父さんやお母さん自身が強い負担を感じている場合もあるかもしれません。
そのような状態であっても、学校との関係を完全に切り捨てることは、絶対に避けなければいけません。
お父さんやお母さんは一人で抱え込まず、状況に応じて他の相談機関を利用することもあってよいと思います。
保健室やスクールカウンセラー
多くの小学校・中学校、または高校には、スクールカウンセラーが配置されています。
保健室やスクールカウンセラーとの関わりも、上記の学校との関わりの一部ですが、位置づけが少し異なります。
保健室やスクールカウンセラーは、子どもの悩みだけでなく、お父さんやお母さんからの相談にも対応しています。
担任の先生や、その他の担当の先生には話しにくい内容などもあるかもしれません。
保健室やスクールカウンセラーのほうが、親身になってくれて、相談しやすい場合もあるので、話をしてみるのがよいと思います。
教育支援センター(適応指導教室)
教育支援センター(適応指導教室)は、自治体が運営する不登校支援のための公的な機関です。
子どもの居場所支援や学習支援だけでなく、お父さんやお母さんからの相談にも対応しています。
また、不登校支援に関する様々な情報を扱っているので、今後の方向性について相談できる場合もあります。
地域によって名称や細かな支援内容は異なりますが、比較的利用しやすい相談先の一つです。
お住まいの地域の役場や教育委員会などへ問い合わせてみるとよいと思います。
民間の支援機関
近年は、不登校の支援を専門に行う、民間の相談機関や施設(フリースクールなど)も増えています。
学校や公的機関とは異なる立場からアドバイスを受けられることもあり、お父さんやお母さんにとって、心強い存在になる場合があります。
また、不登校経験者や発達特性への理解があるスタッフが在籍していることもあります。
ただし、民間なので費用がかかるのが一般的です。支援内容や費用は、各機関ごとに異なるので、事前に確認することが必要です。
民間ということもあり、柔軟に対応してくれる施設もあるので、相談してみるのもよいと思います。
不登校の子どもの親によくある質問(FAQ)
不登校の対応に正解はなく、子どもの状態や家庭環境によっても適切な関わり方は変わります。
そのため、「学校へ行くように言わない方がいいの?」「甘やかしとの違いは?」など、さまざまな疑問や不安を抱えるお父さんやお母さんもいると思います。
ここでは、不登校の子どもを支えるお父さんやお母さんが、特に疑問に思うことについて、分かりやすく解説します。
Q. 子どもに、学校に行かない理由を聞いてはいけませんか?
A.理由を聞くこと自体が悪いわけではありません。
ただし、何度も繰り返し聞いたり、厳しく問い詰めたりすることは避けた方がよいでしょう。
子どもによって受け取り方は異なりますが、学校に行かない理由を聞かれることが、お父さんやお母さんから責められている、と感じる場合もあります。
学校に行くことが当たり前で、学校を休むことは悪いこと、と決めつけてしまうことはよくありません。
子どもが学校に行かない理由は、学校に行きたくないから、という感じに受け止めてあげることが大切です。
また、学校に行かない理由をまったく聞かなのもよくありません。子どもの様子を見ながら、適度に話を聞いてみることも必要です。
Q. 「学校へ行きたくない」と言われたら、どう対応すればいいですか?
A.まずは頭ごなしに否定せず、子どもの話を聞くことが大切です。
そして、行きたくない理由を詳しく聞き出す必要はありません。
「どうしたの?」という感じで軽く聞いてみるのがよいでしょう。
しかし、多くの場合は、子どもから明確な返事はないので、「じゃあ、家でのんびり休もうか」と話しをしてください。
お父さんやお母さんとしては、「とりあえず学校へ行かせなければ」と焦る気持ちになるかもしれません。
しかし、学校に行くことよりも、子どもの学校に行きなさい気持ちを、大事にしてあげましょう。
Q. 「甘やかす」と「甘えさせる」の違いは何ですか?
A.一般的に、「甘やかす」こととは、子どもの要求を何でも要求通りに叶えてしまう、親の行動などを指します。
それに対して、「甘えさせる」こととは、子どもがお父さんやお母さんと一緒にいたい場合に、子どもが満足するまで一緒にいてあげる、親の行動を指します。
一見すると、どちらも子どもの要求のように見えますが、決定的な違いがあります。
「甘やかす」ことは、「物」に対しての要求であり、物質的な要求の場合に使われる表現です。
「甘えさせる」ことは、「人(親)」に対しての要求であり、対人的な要求の場合に使われる表現です。
子供を甘やかしてばかりいると、一般的に子どもはどんどん我がままになります。
しかし、甘えさせることがどんなに多くても、子どもが我がままになることは絶対にありません。
子どもが元気に成長し、親子関係を正常に築いていくうえで、子どもが小さい時に、たくさん「甘えさえる」ことは、必要不可欠な親の行動です。
子どもが不登校になった時、もっとお父さんやお母さんに甘えたい、という気持ちがあるのかもしれません。
子どもは大きくなるにつれて、親に甘えたい、と素直に表現することはできなくなります。
子どものそのような気持ちを、お父さんやお母さんが受け止めてあけることも大切だと思います。
Q. 子どもの不登校は、親の育て方が原因ですか?
A.不登校の原因を、親の育て方だけで説明することはできません。
実際には、人間関係の悩みや学習面の負担、学校環境との相性、発達特性、心身の不調など、さまざまな要因が複雑に関係しています。
そのため、「自分の育て方が悪かったからだ」と必要以上に自分を責める必要はありません。
家庭環境や親の関わり方が、子どもに影響を与えることはありますが、それは不登校の原因を決める唯一の要素ではありません。
大切なのは、不登校の原因を探すことではなく、子どもの今後や将来ついて考えることです。
Q. フリースクールは利用した方が良いですか?
A.フリースクールは有力な選択肢の一つですが、すべての子どもに必要とは限りません。
不登校の子どもの中には、学校とは別に安心して過ごせる場所が必要なこともあります。
そのような場合、フリースクールは居場所や学習支援、人との交流の機会として役立つことがあります。
一方で、人と関わること自体が負担になっている時期や、自宅で十分に落ち着いて過ごせている場合は、無理に利用する必要はありません。
また、フリースクールによって支援方針や雰囲気は大きく異なりので、子どもに合う場所かどうかを考えることが大切です。
無料の相談や施設の見学などを利用しながら、本人の気持ちを尊重して判断するとよいでしょう。
Q. いつ専門機関へ相談するべきですか?
A.専門機関へ相談するタイミングは非常に重要です。
早すぎても意味がありませんし、遅すぎると改善に時間がかかる場合があります。
不登校は原因や状況が家庭ごとに異なるため、早い段階で第三者の意見を聞くことで、お父さんやお母さんの負担が軽くなることもあります。
相談する目安としては、学校に行けない日が一週間を過ぎたころから、検討するのがよいと思います。
一週間なんて早すぎる、と思うかもしれませんが、子どもの様子を見ているうちに、すぐ一か月なんて過ぎてしまうのが現状です。
また、「何をすればいいのか分からない」という状態そのものが、相談を検討するサインともいえます。
相談先としては、学校の担任やスクールカウンセラー、教育支援センター(適応指導教室)、医療機関、民間の支援機関などがあります。
専門機関への相談は特別なことではなく、子どもを支えるための一つの手段です。
子どもの状態がさらに悪くなる前に、利用できる支援を活用することをおすすめします。
Q. NG行動をしなければ、子どもの不登校は改善しますか?
A.この記事で取り上げたNG行動をすべて避けたとしても、子どもの不登校が必ず改善するとは限りません。
ただし、NG行動をしないようにお父さんやお母さんが心がけることで、さらなる悪化を防げるようになる、といってよいと思います。
不登校の背景には、発達特性などさまざまな要因が関係していて、一人ひとり対応が異なります。
そのため、不登校が改善するマニュアルなどは存在しません。
お父さんやお母さんがNG行動をしないように心がけることで、子どもと正しく関わることができるようになり、冷静に判断できるようになります。
そして、子どもも少しづつ状態が変わり、お父さんやお母さんといろいろな話ができるようになります。
不登校の原因や状況は子どもによって異なるので、このFAQだけですべての疑問や不安を解決できるわけではありません。
お父さんやお母さんが抱えやすい悩みや疑問について整理しましたが、十分ではないかもしれません。
このFAQの内容を、子どもとの関わり方を考える際の参考にしてください。
まとめ|不登校の子どもに「正しい対応」することで「安心できる関係」になる
不登校の子どもに対して、お父さんやお母さんは何が正解なのか悩むのは自然なことです。
実際には、不登校の原因や状況は一人ひとり異なるので、必ず改善する教科書というものはありません。
しかし、無理に学校へ行かせようとしたり、原因を問い詰めたり、将来を悲観する言葉をかけたりすることは、子どもをさらに追い詰めてしまう可能性があります。
大切なのは、完璧な対応を目指す必要はありませんが、できるだけ正しい対応・関わり方をすることです。
そうすることで、子どもとの信頼関係がより深まり、子どもにとってもお父さんやお母さんにとっても、安心できる関係になります。
このような状態になれば、必ず不登校は改善します。
また、学校やスクールカウンセラー、教育支援センター、フリースクールなど、利用できる支援は数多くあります。
お父さんやお母さんは一人で抱え込まず、必要に応じて専門家の力を借りながら進んでいくことも大切です。
なお、不登校の原因や進路、家庭での関わり方については、以下の記事でも詳しく解説しています。
サイト運営者:元赤点教師
元高校教師(教員歴15年)。進路指導部や各学年の担任として多くの生徒や保護者の相談に関わってきました。子どもの頃は勉強が苦手で赤点ばかりの生徒でしたが、その経験から「勉強が苦手な子の気持ち」がよく分かります。現在は、勉強や学校生活に悩む子どもを持つ保護者の方へ向けて、教育情報を分かりやすく発信しています。また、発達特性(ADHD)や勉強が苦手な子の学習方法について、現場経験をもとに解説しています。私についてはプロフィールで簡単な生い立ちを書いています。
